遺言と遺留分

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「遺留分」とは、相続にあたって、遺産の中から一定の相続人に対して法律上必ず留保される一定の割合をいいます。その割合は、次のとおりです。

  1.父母、祖父母(直系尊属)のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
  2.上記1の場合以外 被相続人の財産の2分の1

そうすると、例えば、遺産を子供A・BのうちのAのみに全部相続させるという遺言をしたとしても、相続開始後にBが遺留分を主張すると、Bは全財産のうち4分の1(遺留分2分の1×法定相続割合2分の1=4分の1)の財産を取得することになります。

それでは、具体的な事例を以下では、Q&Aでみていきましょう!

Q.遺留分減殺請求をされた場合、遺産の価格は何時が基準となるか?

A.相続開始の時を基準とします(民1029条)。

→民法は、「遺留分算定の基礎となる財産額は、相続開始時に被相続人が有した積極財産の価額に、被相続人が贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して、これを算定する」と定めています。

具体的な計算は非常に複雑となるケースもあり、慎重な検討が必要となります。

Q.遺留分減殺請求をする場合、減殺する遺産に順番を付けることができるか

A.遺言者は順番を付けることができますが、相続人はできません。

①遺言者の場合

→順番を付すことが可能です(民1034条)

例えば、遺言にて

「遺言者は、遺留分の減殺は、まず長男一郎に相続させる財産から、その中では預貯金から減殺すべきものと定める」

とのように減殺の順序を定めておくことが出来ます。

民法の原則では、遺留分減殺請求がされるとその全てについて対象財産の価額に応じて遺留分減殺の効力が及びます(民1034条)。

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例えば、被相続人 一郎さんの相続人が太郎さんと花子さんの2人であり、相続財産が価額1000万円のAマンション、価額4000万円のBマンションのみであったとします(遺産総額5000万円)。

その場合に一郎さんが「全財産を山田さん(他人)に遺贈する」という遺言をすると、太郎さんと花子さんは遺留分(それぞれ5000万円の4分の1)を侵害されたとして減殺請求権を行使することが出来ます。

しかし、遺言中に減殺の順序が定まっていないため、対象財産たるA・Bマンションの価額に応じて減殺の効力が及び、2つのマンションは山田さんの持分が2分の1、太郎さんと花子さんの持分がそれぞれ4分の1の共有状態になります。
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上記の例のような遺留分減殺請求権の行使がされると、遺権利関係が複雑になってしまい、解決に時間がかかってしまいますのでので、遺言の中で減殺すべき順序を予め定めておくことも有益かと思います。

②遺留分権利者の場合

→遺留分権利者が減殺すべき遺産に順番を付すことはできません(民1034条)

民法1034条に定めるとおり、その目的物の価額に応じて減殺することになります。

上記の例における太郎さんと花子さんは、「まずはAマンションについて遺留分減殺請求権を行使します」とは言うことが出来ないということになります。

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